ラテンアメリカタワーにほど近く、メトロ「ベジャス・アルテス駅」に隣接するベジャス・アルテス宮殿。その美しさはメキシコシティ内でも際立つ存在です。
1900年代初頭、当時のヨーロッパ芸術追随の流れからメキシコ大統領ポルフィリオ・ディアスは国立劇場の建設を指示し、ベジャス・アルテス宮殿の建築が始まりました。イタリア人建築家アダモ・ボアリは白大理石を惜しげもなく使い、壮麗なアール・ヌーヴォー様式の建物に仕上げました。土壌が柔らかい影響もあり、重厚なこの建物は年々数cm程沈んでいるそうです。1910年に独立運動が起きたことで、建物は1934年まで完成しませんでした。
内装はアール・デコ様式が採用され、立派な大理石の柱や、巨大なドームが印象的です。自然光がたっぷりと入るステンドグラスには、ティファニーの何百万ものカラーガラスが使用されています。2-4階部分は、美術館と博物館になっていて、ディエゴ・リベラ、ルフィーノ・タマヨ、シケイロス、オロスコといった壁画運動で知られたメキシコ芸術界の巨匠の手による内部壁画を堪能することが出来ます。特に見逃せないのは、リベラの壁画「十字路の人物(Man at the Crossroads)」です。ニューヨークのロックフェラーセンターに寄贈される予定でしたが、共産主義的な色合いが強かったためジョン・ロックフェラー2世に破壊を命じられました。その後1934年にリベラが宮殿内部の壁面に描き直したものです。さらに、タマヨの壁画「現在のメキシコ」、「祖国の誕生」にも注目です。メキシコに多数存在する混血(メスティーソ)のアイディんティティを主張する象徴になっています。4階部分は国立建築博物館として使われています。
ベジャス・アルテス宮殿は現在も劇場としても利用されていて、特にメキシコ国立民族舞踊団の公演は有名です。メキシコ各地の民俗舞踊が楽しめる格式ある劇場として、観光客や地元客にも人気のスポットです。その他にも、クラシック音楽、オペラ、ダンスなど多様なイベントが開催されています。1階ロビーにはレストランやおみやげ屋、本屋も入っているので、こちらもチェックしてみてください。
(写真:トリップアドバイザー提供)
メキシコ各地には様々な舞踊、衣装、そして歌があります。華やかで、活気あふれるメキシコ民族舞踊を堪能してみてください。チケットは、インターネットのticketmaster、直接ベジャス・アルテス宮殿内のチケット売り場でも購入できます。
(写真:トリップアドバイザー提供)
近隣情報