アルゼンチンの治安

アルゼンチンはこれまで、中南米の国々の中では比較的安全だと言われてきましたが、経済危機以降、ここ数年の間に、治安状況は悪化しました。スリ、置き引き、マスタード強盗など、従来型の犯罪に加え、タクシー強盗、銀行強盗、人質を楯に身代金を要求する簡易誘拐も発生しています。荷物は決して手から離さないよう常に気を払いましょう。街を歩く時はいつも周囲に気を払い、暗い道や人気の無い場所には近づかない、等の注意が必要です。

犯罪傾向(出典:外務省 海外安全ホームページ)

アルゼンチンでは,未成年者犯罪,麻薬関連犯罪の増加及びビジャと呼ばれるスラム街が増大していること等により,連邦首都ブエノスアイレス市を中心に,治安が悪化しつつあると感じている国民の割合が増加傾向にあります。一般犯罪については,置き引き,スリ,ひったくり(特にモトチョロスと呼ばれるバイクを使用したひったくり),マスタード強盗(マスタード等の液状のものを服にかけ,被害者が拭き取ることに気をとられている間に置き引きしたり,財布をすったりする手口)等は日常化していることに留意して行動してください。人込みやバスターミナル等,不特定多数の人が集まる場所では特に注意が必要です。また,見ず知らずの人に話しかけられた場合は,気をとられているすきを狙う犯罪者が近くにいると考えて,更に警戒することが必要です。なお,犯罪者はグループで行動することが一般的であり,銃器を携行している場合もあるので,身の危険を感じた場合は抵抗しないようお勧めします。
 また,首都ブエノスアイレス市の周辺都市(ブエノスアイレス市から40kmの範囲内。首都ブエノスアイレス市は除く。)においては,強盗や盗難事件等が頻発し,誘拐,強姦及び殺人等の凶悪犯罪も発生しているため注意が必要です。

犯罪手口に応じた注意事項(出典:外務省 海外安全ホームページ)

(ア)置き引き及びスリ
 空港,ホテルロビー,レストラン,バス,地下鉄等において,すきを狙われ,バッグ等を置き引きされたり,すられたりしています。常に適度な緊張感を保つとともに混雑した場所等においては特に油断しない等の注意が必要です。

(イ)両替詐欺
 両替所にて当地通貨に換金する際に,高額紙幣を低額紙幣にすり替えられる被害が発生しています。現金を受け取る際には,慌てずに相手の目の前で金額を確認する等の注意が必要です。

(ウ)ひったくり
 グループによる犯行が多く,被害者に狙いをつけて犯行に及んでいると思われます。華美な服装や人前で大金を見せる等の行動は慎んでください。特に,モトチョロスと呼ばれるバイクを使ったひったくりが多いため,歩道を歩く場合は車やバイクの動きを確認しやすいよう,これらと対面する方向に歩くよう努めてください。万一,低速で接近する不審なバイク(二人乗りのことが多い)を発見した場合は,速やかに人込みに紛れるか商店の中に入り,難を避けるようお勧めします。銀行周辺においては現金を引き出した人が狙われるケースも後を絶たないため,周囲の状況を確認するなど十分な注意が必要です。

(エ)マスタード強盗
 市内の観光スポット,公園等で発生しています。数人のグループによる犯行が多く,手口は,マスタード,ケチャップ,廃油,塗料等の液状物質を被害者の衣服につけた後,汚れているのを教えると同時に拭き取るのを手伝う振りをして近づき,被害者が足を止めて汚れを拭き取る間に財布や地面に置いたバッグ等を奪って,待機しているタクシーで逃げ去るケースが多いようです。マスタード等を掛けられた場合,その場で拭き取ることなく,速やかにその場を立ち去るようお勧めします。

(オ)誘拐
 誘拐から自分自身と家族の安全を守る心構えとして,「目立たない」,「用心を怠らない」,「行動を予知されない」の三原則を念頭に,日常における予防を忘れないでください。また,「通勤時間や経路を変更する」,「外出や帰宅時に,不審者や不審車両が見当たらないかチェックする」等の注意が必要です。また,「短時間誘拐」に対する注意事項としては,既述の未然防止策のほか,キャッシュカードやクレジットカードを必要時以外持ち歩かず,万一拘束されたら犯人の指示に従い,むやみに抵抗しないことも必要です。

ブエノスアイレス市の犯罪被害多発区域の例(出典:外務省 海外安全ホームページ)

犯罪が比較的多発している地域における各種犯罪等の主な特徴は以下のとおりです。

(1)ボカ地区(BOCA)
 タンゴ発祥の地といわれており,多数の観光客が訪れますが,首都の下町で,低所得者層の居住地区でもあり,大通り以外は日中でも注意が必要です。近くに大きなサッカー場があり,特に,サッカーの試合日には犯罪が発生する傾向にあります。

(2)フロリダ通り(FLORIDA)
 観光客等で非常に賑わう歩行者通りです。スリやひったくり等の犯罪がよく起きています。

(3)サンテルモ地区(SAN TELMO)
 首都で最も古い地区の1つです。週末にはドレーゴ広場においてフェリア(のみの市)が開催され,観光客を含む大勢の人で賑わいますが,スリ,ひったくり等の犯罪も多く報告されています。

(4)モンセラート地区(MONSERRAT)及びサンニコラス地区(SAN NICOLAS)
 市内金融街で銀行が多数あり,強盗やひったくり等の犯罪が発生しています。

(5)レティーロ駅周辺及びサンマルティン広場
 犯罪グループによるひったくりや置き引きが多発しており,邦人被害が恒常的に多い地域です。外国人観光客に対する殺人事件も発生しています。

(6)首都の三大ターミナル(CONSTITUCION駅,RETIRO駅及びONCE DE SEPTIEMBRE駅)
 構内の犯罪が主ですが,周辺でも強盗事件が発生しています。また,電車運行の遅延により乗客が暴徒化し,破壊行為が発生したことがあります。

(7)レコレータ地区(RECOLETA)
 エビー夕の墓があるレコレー夕墓地の周辺は,昼夜の別なく多くの観光客で賑わっていますが,ひったくりやスリ等の犯罪が発生しています。

(8)リーベルプレート(RIVER PLATE)サッカー場近傍
 試合の日に犯罪や騒動が発生することがあります。

防犯対策(出典:外務省 海外安全ホームページ)

・全般
○警察官等の制服着用者を含め,安易に他人を信用しない。
○外出時は,すきをつくらず,常に周囲を警戒する。
○華美な服装や人前で大金を見せる等,犯罪者のターゲットにされるような行動は避ける。
○カードで支払いをする場合,サイン前に金額をしっかりと確認する。
○両替等でお金を受け取る際は,確実にその場で金額を確認する。
○犯罪に巻き込まれた場合,身体の安全を最優先として落ち着いて行動し,犯人に対しては抵抗しない。

・公共機関利用時
(ア)タクシー
 タクシーを利用する際は流しのタクシーの利用は避け,「無線タクシー」(ラジオタクシー)を利用する方が安全です。また,チップを料金と別に請求されることがありますが,アルゼンチンではタクシー運転手にチップを払う習慣はありません。

(イ)レミース
 タクシーに代わる交通手段で,より安全なものとして,レミースと呼ばれるハイヤーがあります。日系の業者で日本語が通じる会社もあり,予約を入れれば迎えに来てくれます。運転手の身なりもきちんとしており,料金はタクシーよりやや高めですが,安心して利用できます。ただし,一般の車両と区別がつかないため,予約の際に車種,色,車番及び運転手名を確認するようにしてください。

(ウ)バス
 一般に「コレクティーボ」と呼ばれ,ブエノスアイレス市内では24時間営業されていて,慣れれば便利です。しかし,混雑時期は車内でのスリ,下車直前のひったくり等が発生しています。いずれも犯人は複数であることが多く,手荒な行動をとる場合もあります。また,バスの運転自体も乱暴で,バス停に接近すると停車前からドアを開け,完全に客が乗り込んでいなくても,ドアを開けたままで発進することも珍しくありません。なお,走行中は空いているところを求めてレーンを頻繁に移動するので,自家用車でバス脇を併走する場合は注意が必要です。

(エ)地下鉄
 A線からE線まで及びH線があり,安く便利です。しかし,混雑時には車内及びホーム等でスリやひったくり等が発生しています。利用の際は,荷物等の携行品に注意し,周囲にも気を配るようお勧めします。なお,車内では物売りをしている光景も見受けられますが,売子が乗客の膝上等に無理矢理置く商品は,彼等が回収に来るまでそのままにしておいてください。

・場所に応じた注意事項
(ア)レストラン及びインターネット・カフェ
 椅子に掛けたりテーブルの下に置いたりしたバッグが盗まれる置き引き被害が多発しています。バッグへの注意を怠らないよう,置く場合は常に目の届くところに置いてください。また,念のために貴重品類は常に身につけておいてください。

(イ)観光地区
 観光スポットから外れた場所へは入らないよう注意してください。また,タンゴのショーは深夜まで行われることが多く,終了後の移動には十分な注意が必要です。

(ウ)バー
 ブエノスアイレスでは,店舗の正面に料金表を提示することが,飲食店に義務付けられています。バーに入る時は,料金表を見て金額を確認することが必要です。料金表が見当たらない場合は,不正な高額料金を請求される可能性もあります。

緊急連絡先

■在アルゼンチン日本国大使館
住所: Bouchard 547 Piso-17, Buenos Aires, Argentina
電話:(市外局番011)4318-8200
国外からは(国番号54)-11-4318-8200
FAX:(市外局番011)4318-8210
国外からは(国番号54)-11-4318-8210
ホームページ: http://www.ar.emb-japan.go.jp/index_j.htm

■緊急時
・警察:
(1)「911」及び「101」を使用できる地域
首都ブエノスアイレス市を含むブエノスアイレス州全域,サンタフェ州及びサンルイス州。
(2)「911」のみ使用できる地域
  メンドーサ州,サルタ州及びサンファン州
(3)「101」のみ使用できる地域
  上記(1)及び(2)に該当しない各州
※911・・・警察・救急・消防の区別なく通話可能な緊急事態連絡番号
※101・・・地域を管轄する警察と通話するための番号

・救急:107
・消防:100

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